コラム

商標登録の知識やマドプロの重要性など、商標に関するコラムを掲載しております。
是非ご覧ください。

● 指定商品・指定役務の選定について

指定商品や指定役務は、商標登録出願審査の対象になるだけではなく、登録後は商標権という強力な独占排他権の権利範囲を定めるものとなるため、非常に需要な要素であると言えます。また、願書の作成者によって、質に大きく差が出るところでもあります。

指定商品や指定役務の選定にあたっては、まずは「類似商品・役務審査基準」が基幹的な資料となります。この「類似商品・役務審査基準」は毎年改正され、現時点では〔国際分類第12-2025版対応〕が最新版となっています。

「類似商品・役務審査基準」には、分類(区分)や具体的な商品名・役務名、類似群コードが明記されており、各商品・役務と類似する商品・役務の関係が整理された基準となっています。
ここで、類似群コードについては、同一の類似群コードが付された商品・役務は原則としてお互いに類似するものと推定されるため、先行商標調査を行う際には特に注意しておく必要があります。

次に、J-Plat Pat(特許情報プラットフォーム)における、「商品・役務名検索」が、便利で有用な検索ツールとなります。
「商品・役務名検索」においては、前述の「類似商品・役務審査基準」の商品・役務だけでなく、「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」,「TM5 IDリスト」,「審査において採用された商品・役務名」,「WIPO Madrid Goods and Services Manager」及び、「採用できない商品・役務名」について、日本語又は英語で検索することが出来ます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t1201

まず、「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」は、標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定に基づく、国際的に共通の商標登録のための分類で、「商品・サービス国際分類表〔第12-2025版〕」が最新版となります。
現時点で、ニース協定には93ヶ国が加盟しており、また、未加盟国であっても、相当数の国が採用しているため、世界各国への商標出願を行うにあたって、重要なツールとなります。
また、Nice Classificationについては、WIPO提供のNice Classification Publication(NCLPUB)も参照します。
https://www.wipo.int/en/web/classification-nice

次に、「TM5 IDリスト」とは、商標五庁(TM5)である「日本国特許庁(JPO)」,「韓国特許庁(KIPO)」,「欧州連合知的財産庁(EUIPO)」,「中国国家工商行政管理総局(SAIC)」,「米国特許商標庁(USPTO)」によって承認された、審査において相互に受け入れ可能な商品・役務表示のリストを言います。
これにより、上記商標五庁において採用され得る商品・役務表記を、効率的に検索することが出来ます。

続いて、「審査において採用された商品・役務名」とは、読んで字の如く、審査において採用された商品・役務表示のうち、出願人の参考になると思われるものを公表した表示のことです。
この「審査において採用された商品・役務名」は、上述の「類似商品・役務審査基準」における商品・役務表記と比べると、細やかな表記が多いため、より緻密な指定商品・指定役務表記を行いたいときに有用です。

次に、「WIPO Madrid Goods and Services Manager」では、WIPO(World Intellectual Property Organization:世界知的所有権機関)において受け入れ可能な商品・役務の標準的表示のほか、マドリッド協定議定書の締結国において受け入れ可能か否かについても、確認を行うことが出来ます。
WIPOウェブサイト上のMadrid Goods & Services Managerも、特にマドプロ基づく国際登録出願願書(MM2)の作成にあたっては、必須のツールとなります。
https://webaccess.wipo.int/mgs/index.jsp?lang=en

最後に、「採用できない商品・役務名」では、例えば、“人口甘味料”,“薬用せっけん”,“健康食品”,“スマートウォッチ”,“キックバイク”,“江戸切子”,“郵便切手”,“九谷焼”,“今治タオル”,“仮想商品”,“税務書類の作成”,“求人広告”,“仮想通貨の交換”,“投資銀行”,“コインランドリーの提供”,“電子メールサービス”,“E-スポーツサービス”,“鬼怒川温泉”のように、指定商品・指定役務表記として認められませんよ、採用されませんよ、という表記が検索できるため、不必要な拒絶理由を事前に回避することが出来ます。

その他、アメリカのように、比較的特殊な指定商品・指定役務表記が行われる国においては、同国USPTO(United States Patent and Trademark Office:米国特許商標庁)提供のUS Trademark ID Manualなども確認しておく必要があります。
https://idm-tmng.uspto.gov/id-master-list-public.html

他方で、Amazonや楽天,ヨドバシ.com等のECサイトにおいて、実際の市場ではどのような商品表記が行われているか、日々つぶさに調査・確認しておく必要があります。
商品表記やサービスの名称は、市場において日々刻刻と変化する流動的なものであるため、取引者及び需要者がどのような名称で商品・役務を認識しているかを把握しておくことは、指定商品・指定役務表記の選定において非常に有用です。
特に、ECサイトにおける商標権侵害の申告にあたっては、かかる市場調査に基づいて選定した指定商品表記が、真価を発揮することになります。

以上の通り、特許庁のJ-Plat Patをはじめとするオンライン上の様々な検索ツールに加え、実際の市場における商品表記の動向も把握し、それぞれを複合的・循環的・相互補完的に活用することにより、外国商標出願,マドプロ国際商標出願の適切な基礎となり、また、訴訟に強く、ECサイトの侵害申請にも強く、かつ、10年20年30年と長期の年月に耐えられる商標権の取得を実現することが出来ます。

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