コラム

● 商標登録の出願から登録完了までの流れ

● 商標登録の意義と重要性 商標とは、自己の業務にかかわる商品または役務を、他者の商品または役務と識別する「識別標識」のことで、
身近には「トレードマーク」や「ブランド」と呼ばれて活用されているものです。
商標登録によって生じる商標権は、私的財産権の一種であり、
登録した商標を独占排他的に使用できる権利として重要視されます。
商標登録は、類似した商品や役務との混同による混乱を防ぎ、
ビジネス上の信頼関係を確実に築くためにも欠かせない手続きとされています。
商標登録の大まかな流れとしては、事前準備としての簡易調査を経て、特許庁へ出願手続き後、
審査の結果を待ち、登録料を納付すれば登録完了となります。

● 出願に関わる準備と手続き 商標登録をすることに決めたら(できれば、それ以前の商標を採用する際に)、
まずは他人の商標権を侵害していないかどうかを確認する商標調査をぜひ実行しましょう。
商品名、サービス名などに先行商標があった場合、
損害賠償や差止請求といった訴訟沙汰に発展する可能性もあります。
商標権の侵害者には厳しい罰則規定が設けられているので、商標調査は必ず行いたいものです。
商標調査は特許情報プラットフォームなどを利用して自分で行っても構いませんが、
完璧なレベルでの絞り込み検索は未経験者には非常に難しいので、
知的財産権のプロである弁理士に任せるほうが安心で確実でしょう。
出願後、商標の実体審査において問題が無ければ、
登録OKとの最終判断を意味する「登録査定」が通知されます。
そのまま登録をする場合は、特許印紙によって所定の登録料を納付することで設定登録がなされ、
ここに原則10年間有効の商標権が発生します。
なお10年経過後も、更新登録申請の手続きを行えば、商標権を存続させることが可能です。

● 審査で「No」と判断されたら 商標登録で最も懸念されるのが、審査の過程で商標登録不可との最終判断を意味する「拒絶査定」です。
拒絶査定の結果に対しては、不服を申し立てることで、
再び商標登録の機会が得られるよう働きかけることができます。
但し、不服申し立てをせずに放置した場合は、拒絶査定が確定し、
商標権の取得を断念したと見なされるので注意が必要です。
なお不服審判の審理結果が「拒絶審決」となった場合、同審判の取消の訴訟を起こすこともできますが、
審判や取消訴訟は弁護士や弁理士などの専門家を代理人に立てることが一般的で、
費用もかなり多額になることに注意してください。
拒絶査定とならないための、しっかりした事前調査と適切な出願手続き、
拒絶査定の前段階である拒絶理由通知に対する反論(意見書の提出)等を、
専門の弁理士に任せるほうが結局は費用節約となることも多いのです。